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「日本は最も大変」-煩雑な入国手続きやアプリに外国人違和感 (訂正)

訂正済み
  • 実証で来日の米観光客は手続きに2時間半、高齢者には厳しいと指摘
  • 政府は6月以降ツアー観光客受け入れへ、日本の厳しい体制どうなる
外国人観光客受け入れ再開

6月10日からの外国人観光客受け入れ再開に先立ち、政府が実施している実証事業の一環でハワイから日本を訪れたクリストファー・リーさん(57)ら4人は入国時の煩雑な手続きや日本での居場所を確認するためのアプリのインストールなど厳しい検疫体制に違和感を覚えた。

  25日午後、成田空港に降り立ったリーさんら一行をまず待ち構えていたのが入国に必要な書類の提出だ。出国72時間以内に検査を受け新型コロナウイルスの陰性証明書は準備していたが、それ以外にも連絡先などを記入する質問票のほか宿泊施設での待機誓約書や、その緩和を希望する場合はワクチン接種証明書の提出も求められる。

  このほか、厚労省は入国者に対して、健康状態や居場所を確認するアプリ「MySOS」や接触確認アプリ「COCOA」のインストールを求めている。

  JTB USAで旅行コンサルタントを務めるリーさんは、コロナ禍に数組の旅行客をアラブ首長国連邦のドバイやアイスランドに連れて行ったといい、「アプリの数や入国に必要な手続きの量で、日本は今のところ最も大変だった」と話す。

  同行したソニア・ミヤシロ氏(68)は、空港での入国時の手続きには2時間半を要したと話す。「多くの高齢者はアップロードやダウンロードの仕方が分からない」と手続きの煩雑さを指摘した。

Tourists arrive in Japan
政府の実証で日本を訪問した米国人観光客ら(26日、茨城県ひたちなか市の酒列磯前神社)
Photographer: Kanoko Matsuyama/Bloomberg

  4人はハワイ現地の旅行会社でパッケージツアーの設計を担当する社員や経営者で、茨城県ひたちなか市の神社や漁港などを訪れた。30日の帰国を予定している。

  実証事業は、オミクロン株に対する水際対策の強化で実施を2021年11月に見合わせたもの。今回は米国やオーストラリア、タイ、シンガポールからワクチン3回目接種済みの観光客を対象にしている。

住民の理解得たい

  実証事業で来日したグループは、都道府県が了承した地域で観光ツアーを実施する。ツアー中は自由行動は設けずに旅行会社が手配した旅程に従って行動する。バス移動時や昼食時の席順なども事前に決められた通りに座らなければいけない。政府がガイドライン策定の参考にするためだ。

  手指消毒やマスクの着用も促す。旅行会社がマスクを配布し、検温や体調チェックを毎日実施する。移動先には消毒液や検温機器が設置されており、4人が手指消毒をする姿が度々あった。昼食時には仕切り板が設置され間隔を空けて着席した。

  茨城県営業戦略部国際観光課の幡谷佐智子課長は、「2年半、全く外国人観光客が来られず、6月から再開されるということで非常に期待している」と話す。訪日客に感染対策を徹底してもらうことで「住民にも理解をしてもらえるのでは」との見解を示した。

  岸田文雄首相は26日、添乗員付きパッケージツアーでの外国人観光客を6月10日から受け入れると発表。同月1日から入国者数の上限を1日1万人から2万人に引き上げ、陽性率が低い国の入国時検査も免除するという。

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(2パラの羽田空港を成田空港に訂正します)
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