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米欧が一部ロシア銀を国際決済網から排除、中銀にも制裁で圧力

更新日時
  • 必要となれば対象を他のロシア金融機関にも拡大可能-当局者
  • ロシアほどの経済規模の中銀に対する米国の制裁は初めて

西側諸国は、ロシアの経済と金融システムをさらに孤立させる新たな制裁の発動で合意した。当初発表の措置では、ウクライナに侵攻したロシア軍を撤退させるようプーチン大統領に圧力をかけるのが不十分だったため、制裁を強化する。

  米国と欧州委員会、フランス、ドイツ、イタリア、英国、カナダは26日の共同声明で、国際銀行間通信協会(SWIFT)の国際決済ネットワークから一部のロシアの銀行を排除することで合意したと発表。西側諸国の「制裁の効果を損なわせる形でロシア中央銀行が外貨準備を利用するのを阻止する制限措置」も合意に盛り込んだ。

  「ロシアによる戦争は第2次世界大戦以降に適用されてきた基本的な国際ルールと規範に対する攻撃であり、われわれはこれを守ることにコミットしている」と表明。「ウクライナ攻撃の責任をロシアに負わせるためさらなる措置を講じる準備がある」と説明した。

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砲撃を受けたキエフのビル(2月26日)
Photographer: Daniel Leal/AFP/Getty Images

  林芳正外相は27日のNHKの番組で、これまで米欧で議論されていたロシアをSWIFTから排除する案については、ウクライナも望んでいることが公に示されていたと承知していると指摘。「われわれも金融市場への影響など、注視をしながら対応をしていかなければならない」と語った。

  今回の措置は既に国際社会から制裁を受けているロシアの銀行が対象だが、必要となれば他のロシア金融機関にも拡大は可能だと、複数の当局者が説明した。ホワイトハウスは、エネルギーセクターが関わる取引については適用を除外することを目指していると当局者1人は明らかにした。米政権は石油価格の急騰を避けるために適用除外を求めているという。

  米当局者によると、ロシア中銀に対しては今週末に追加制裁を発表する可能性がある。ロシアの外貨準備は約6400億ドル(約73兆9500億円)。

Russia's dollar reserves likely shifted to swaps after it dumped Treasuries
 
 

  SWIFTからロシアを排除する案についてはこの数週間、幅広い支持を確保するのが困難な「最後の手段」だと当局者が指摘していたが、ロシアの残忍な行為を受け、西側諸国でより厳しい措置を求める世論が強まり、急速に方向性が変わった。

欧州委員会のフォンデアライエン委員長は26日、SWIFTから一部のロシア銀を排除することで合意したと発表
Source: Bloomberg

  ベルギーに本部がある国際銀行間通信協会(SWIFT)は、世界200カ国のメンバーから成る中立的な団体だとしながらも、EUとベルギーの規制には従うと表明。電子メールで送付した発表文で、「新たな措置の対象となる事業体の詳細を理解するため欧州当局と協議している。法的な指示に従う準備をしている」と説明した。

  SWIFTから排除されるロシアの銀行にはズベルバンクやVTBグループなど、既に制裁対象となっていた主要5行が含まれる。これら5行でロシアの銀行資産の約半分を占める。ロシアには年初時点で360行余りの認可銀行がある。

  米国は過去にイランやベネズエラの中銀に制裁を科したことがあるが、ロシアほどの経済規模の中銀に対しては初めてとなる。

原題:U.S., EU Cut Some Russian Banks From SWIFT, Target Central Bank(抜粋)

(当局者のコメントを追加して更新します)
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